今日は膝のリハビリについてです。
ACL(前十字靭帯の損傷)からのリハビリについてです。
前十字靭帯は膝の前方方向の動きを制御する靭帯です。
この靭帯を損傷すると基本は手術になります。
しかし、最近では手術をする年齢があまり10代前半の選手の場合
行わないケースもあります。
基本は手術だということは変わりません。
しかし、この術後、術前にしっかりとリハビリを行わないと前十字靭帯損傷は
繰り返し起こることが少なくありません。
また、複数回断裂すると年齢を重ねた際に膝の人工関節も視野にいれなければなりません。
それほど、この靭帯の損傷は大きな障害になります。
リハビリで一般的には大腿四頭筋を強化することが多いようですが
大腿部の強化をしてきた選手が何人も再発していることを見てきました。
何故四頭筋の強化では再断裂が起きるのか。これは根本的な解決ではないからです。
前十字靭帯の損傷の発症理由に問題があります。膝の前十字から断裂するには回旋する
力によるせん断力が強くかかわります。せん断する力とは右と左から違う力がかかる為に
靭帯が引きちぎられるようになります。
この大きな原因が動作であって筋力ではありません。
現に、どれだけ大腿四頭筋を強化して100kgでのスクワットが出来ても断裂はおきます。
動作を変えない限り問題は起きます。
前十字靭帯が断裂する競技として多いのは、バスケットボール、サッカー、ハンドボール、
ラグビー、バレーボールなどがあげられます。
これらに共通することは切り返し動作やジャンプ動作が多いことです。
切り返し動作が多いとどうしても身体をすぐに逆方向に向ける必要があります。
また、ジャンプ後の着地では着地する際にしっかりと着地出来ない際に
発症します。これれの動作の共通は膝が中心とした動きだからです。
膝周りの筋をいくら強化しても膝を中心とした動きでは筋力があっても
靭帯は簡単に断裂します。もともと膝の関節に回旋したり、大きな力を吸収する
能力はありません。
ではどのようにしてリハビリを行うか。
重要になるのは、膝ではなく、体幹の強化と股関節の強化になります。
身体を鋭く方向転換するときに重要になるのは、いかに自分の身体を
コントロールするかです。コントロールするには大きな力が必要になり、
また神経の伝達も重要になります。
このため体幹部分のコントロールトレーニングが優先になります。
では、体幹のコントロールトレーニングとはお腹の腹圧、
特に横隔膜、骨盤底筋、腹横筋と言われるインナーマッスルを例えどのような
状態でもすぐに力を入れれるようにします。これが出来ると競技において
自分が本来使う筋や関節をうまくコントロールすることになり、強いては
膝の靭帯を守ることになります。
体幹のトレーニングを行うことでこのコントロールをまずは行いやすい
状況にします。
写真① 体幹を意識するトレーニング
写真①はベアと言われる体幹部分を強化するトレーニング。
頭からお尻までを出来るだけまっすぐにして前方に進みます。
この時、手と足からしっかりと地面を押すことで体幹部分の腹圧を
高めることができます。しっかりと体幹部分のコントロールできるとこのベア歩行は
簡単に出来ますが体幹部分のコントロールが出来ないと左右にぶれるようになります。
このベアは赤ちゃんがハイハイする動作とよく似ています。
ハイハイ動作を正しく行うことで、赤ちゃんは体幹部分を強化しているのです。
ハイハイ動作はとても体幹を鍛えるのに有効なトレーニングになります。
このような体幹部分を強化するにはお腹を地面方向に向けることで
重力に抵抗する力が付きます、実際の競技では走ったり、ジャンプしたりのなかで
コントロールするには、重力にしっかりと打ち勝つことが必要になります。
次に股関節です。
股関節は本来は大きな可動性をもっています。この可動域をしっかりと使うことが
重要になります。
競技においては股関節の可動性と強度はとても重要です。
股関節の可動性が高いことで、どのような姿勢でも対応できることがあげられます。
②股関節の可動域
写真②ではバトミントンでの下のシャトルをとる時の姿勢です。
この時に重要になるのは腕ではなかう、右の股関節がしっかりと曲がった状態で
シャトルをとりにいっています、しかし、膝は前方には移動していません。
このように股関節の可動性と強度が高いことでプレーでのパフォーマンスがかわり、
膝への負担を大きく軽減させるのです。
切り返し動作やジャンプ動作でも同じことが言えます。
②切り返し動作
写真②では進行方向から逆方向へ切り返した状態での
ショットになります。やはり股関節部分がしっかりとローディングされた状態
でプレーを行います。このような動作を行うことで膝関節の負担を大きく軽減することに
なります。
動作は膝ではなく、股関節で行います。ブレーキ動作や
走る動作全て股関節が主導で行うことを覚えることで
膝への負担は大きく減少します。
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トレーナー兼コーチ 野島